デジタル放送が広まりつつある今、
録画に課せられた様々な制限について考えよう
ハイビジョン放送に対応したハイビジョンレコーダは、デジタル放送が最初からMPEG2-TSのファイルとして放送波に載せられ送られてくる事から、デジタル放送録画機はMPEG2-TSをそのまま利用する方式を採用。これにより、HDDには全てのデジタル放送を放送局から送出されたままの状態で劣化なしの画質で記録できるのである。しかしハイビジョン放送をDVDメディアに記録する際は、DVD-Video規格はMPEG2-PS以外の記録には対応していないため、アナログ放送程度の解像度に強制的にダウンコンバートされる。それを防ぐために次世代光ディスクレコーダとしてBlu-Ray DiscレコーダやHD DVDレコーダの登場で、画質そのままで保存が可能となったが、これらのレコーダで作成するハイビジョンDVDディスクには互換性がない。松下はBlu-ray Disc Associationが策定した「AVCREC」規格を採用し、東芝はDVDフォーラムが策定した「HD Rec」規格を採用する。どちらも既存のDVDプレーヤー・レコーダー等では再生できない。
日本のデジタル放送では現在、主にコピー制御の基準に対する機器認証システムとしてB-CASを利用している。様々な基準を満たした地上デジタル放送対応の各種機器には「B-CASカード」というICカードが同梱され、これを機器に挿入する。日本のデジタル放送では一部の番組を除き、著作権に配慮した業界内の自主規制ルールによりコピー制御信号が付加されており、視聴者が放送番組を録画する際には制限を受ける。デジタル放送開始当初は暗号化及びコピー制御は行われていなかったが、2004年からほとんどの番組は「コピーワンス(一回だけ録画可能)」(B-CASカードの使用)となった。コピーワンス制御信号が含まれた番組は一回しか番組をコピーできない。地デジ放送対応のレコーダなどで録画すれば、その時点で「コピー」したことになる。番組の複製は作れず、DVDなどのメディアへコピーした場合は「移動(ムーブ)」することとされており、ハードディスクにある録画内容は消去される。書き出したDVDにもしっかりコピーガードがかかっており複製は出来ない。外で見ようとiPodへ転送しても「ムーブ」されるため、元画像は消去される。
このコピー規制については、アナログ放送と同様の利便性をデジタル放送にも求めるユーザーからの不満が強く、1回しか録画できない「コピーワンス」をコピー9回更にムーブ1回の合計10回まで可能とする回数緩和措置を2007年7月に総務省が要請し、「ダビング10」に基づく放送が2008年6月頃より運用開始と発表した。この9回+1回と言うのは、家族3人が3通りの機器(DVDレコーダ、携帯電話、iPodなどの携帯プレーヤなど)にダビングやコピーを行う利用条件を十分に満たすものとして考案されたものである。しかしながらHDDレコーダから他の媒体へムーブした段階でレコーダが壊れ、DVDにしか放送が残されていない状態になると、そのDVDからのコピーは出来ず、そのDVDが破損したら全ての記録はなくなるという問題が発生する。特に最近増えている新興工業国産のディスクメディアの中には粗悪な製品もあり、録画やムーブのときは正常に記録できていても、短期間のうちに劣化し再生不能な状態になると言う問題も起きている。ちなみに諸外国では放送にコピーガードをかけていない。